萩焼ができるまで
主な製作工程をご紹介します。
1.【原土】
萩焼の原土は大道土(だいどうつち)、見島土(みしまつち)、金峯土(みたけつち)があります。この原土を水簸(すいひ=つちこし)して、粘土を作ります。
2.【土揉み】-(菊練り、きくねり)
粘土を轆轤(ロクロ)一台に載る分量だけ板上に置いて、両手で練り上げます。
3.【成形(せいけい)】-(水挽き、みずびき)
水挽き(みずびき)成形に使う轆轤(ろくろ)は、足で蹴って右回転(時計回り)させます。唐津(からつ)など西日本諸窯に多く見られる朝鮮系蹴轆轤(けろくろ)です。
4.【成形】-(高台削り、こうだいけずり)
2~3日間陰干しし、陶枕(とうちん)に適当な土塊(つちくれ)をつけたものに器を伏せて、高台脇や内部の土を削り取ります。ここでの蹴轆轤は左回転が一般的です。
5.【成形】-(加飾、かしょく)
(化粧掛けと刷毛目、はけめ)
器の形が完成すれば、自然乾燥後の生乾きのときに化粧土を施します。これは焼成したときの素地(きじ)の仕上がりをより美しくするためです。
6.【素焼き】
仕上げた器体を陰干し乾燥させた後、素焼用の単窯(たんがま)、もしくは窯焚き(かまたき)の際の最後尾にある焼成室(しょうせいしつ、袋)で700~800℃くらいの温度で15~16時間焼き上げます。
7.【釉掛け(くすりがけ)】-施釉(せゆう)
萩焼の釉薬は、長石粉に木灰(もくばい)を混ぜた土灰釉(どばいゆう、透明釉)と、これに藁灰を加えた藁灰釉(わらばいゆう、白釉)が主流です。
調合した釉薬を素焼した器体に施します。器の制作目的と形状を考慮して、ずぶ掛け(浸し掛け、ひたしがけ)や柄杓掛け(ひしゃくがけ、流し掛け)などの施釉方法を採ります。
8.【窯積み(かまづみ)】
テンビン(天秤)積み、棚積み、さや積みで窯詰めをします。そして窯詰めに使われた焼成室側面の出入口は、投薪口(とうしんこう)を残して泥とレンガで塗り固められます。
9.【焼成】-窯焚き1
窯内全体に余熱を与えて湿気を除去するため、はじめに燃焼室(大口おおぐちとか、胴木窯どうぎがまと呼ばれる)を通常15 時間程度焚きます。燃料はアカマツの薪。
10.【焼成】-窯焚き2
あげていきます。側面の横口(投薪口)から室内温度にむらが生じないように細く割った薪を投入します。
三袋の窯で約24時間、四袋で24~30時間、五袋では30~40時間の焼成が必要となります。
焼成室(袋)内は1200℃前後の温度となります。
焼成時間と火の色をみて、最後に試験用の色見を窯の中から取り出し、釉薬の溶け具合を見定めて薪投入の終了時期を測ります。
11.【焼成】-窯出し
焼成が終了すると各袋の横口(よこぐち、投薪口)を順次泥とレンガで密閉し、3~7日の徐冷したのちに窯出しをします。
※ご指導、ご協力ありがとうございました。
解説・石﨑泰之氏、写真・下瀬信雄氏、岡田裕氏