山口県北部 萩エリア
八代 兼田 佳炎 Kaneta Keien
使い勝手のよい自然な形を
火の神に祈る素朴な窯焚き
生年月日 | 1949年2月10日 |
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出身地 | 山口県萩市 |
所属 | 日本工芸会 萩陶芸家協会理事 |
窯元名 | 勝景庵 |
開窯年 | 1817(文化13)年 |
受賞歴 |
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所在地 | 〒758-0011 山口県萩市椿東前小畑4831-3(Googleマップ) |
電 話 | 0838-22-6168 |
駐車場 | 4台 |
展示場 | 有(茶陶を中心に展示) |
四百年の伝統を継承する窯元で、父恒春と七代三左衛門の作陶を見ながら育ちました。「工房や窯場が遊び場で、小学生のころから手伝っていました」。この道に入ったのは一九七二年、二十三歳のとき。「代々が陶芸を生業にしていましたので、あまり違和感はありませんでしたが、土づくりから釉の調合と、昔のやり方を厳しく教えられました」生活食器は「萩焼本来の器に現代感覚を採りいれたものを」と、ロクロだけでなく手捻りでも制作。「楕円やゆがみが面白い。できるだけ自然な形で、使う人が心なごみ、飽きのこないもの、いろいろ取り合わせができる器にと工夫しています」また、茶陶では「使い勝手のよいもの、萩焼特有の温かさを」と茶道にも精進しています。登り窯はその昔、毛利の殿様がお国回りの石見街道筋で、はるか指月の城を最後に望んだという高台にあります。
往時をしのぶうっそうとした山林を背後にひかえて「湿気が多いので、しっとりした味の焼き上がりになる」とか。
しかし、登窯が大きいためもあって、温度が上がらない難しさがあり、「火の神さまの機嫌をとりながら」、三十六時間かけてゆっくりと焼成。鳥が鳴き、緑豊かな自然のなかにある窯は、「時間をかけて見る来訪者も多い」そうです。
窯焚きは、「松の生命を作品に」と肝に命じて、もっとも緊張とする工程となります。「松は五十年以上の年輪を刻まないと薪にならない。土も一度火を通すと元にもどらない。感謝の気持ちです」この窯から生まれる御本手や灰被りといったさまざまな窯変文様を模索。「次代に残せるような作品が年に一つでも二つでも取り出せればいいのですが」。火の神への祈りはこれからも続きます。