山口県北部 萩エリア
小野 光龍 Ono Kouryuu
修行時代の純粋な初心大切に釣りで着想の波彫文に新境地
生年月日 | 1952年2月10日 |
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出身地 | 山口県萩市 |
所属 | 萩陶芸家協会正会員 |
窯元名 | 萩華山窯 |
開窯年 | 1989年 |
受賞歴 |
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所在地 | 〒758-0061 山口県萩市椿4183-3(Googleマップ) |
電 話 | 0838-22-7992 |
交 通 | JR萩駅より長門方面徒歩10分 |
駐車場 | 2台 |
展示場 | なし |
窯元が身近にあり、いつもやきものを作る風景を見ていて作陶の道に入った作家が多いのも、萩ならではの土地柄です。中学校の下校途中、天鵬山はじめいくつかの工房で「ロクロが回り、土の塊が踊るようにして器の形になるのが面白かった」と、卒業すると初代兼田桂炎に師事しました。土漉しからはじめた少年時代の修行を、「初心忘れることなかれ」の言葉に秘めて、「純粋な気持ち」をいつまでも持ち続けたいと願っています。
一九八九年、萩市大屋に窯を築いて独立。翌年の萩市美術展大賞受賞が、作陶の志をさらに雄飛させました。「自分の考えている形や色が、時代に通用するかどうか」と、公募展が腕試し、腕を磨く絶好の機会となります。「賞をとることが目的でなく、目標に向かって努力する姿勢、作品に向かう緊張感を大切にしたい」。精神を磨く場にもなります。
それからは大物の壺や鉢の制作にも積極的に挑戦、「気合が入ります」と。また、大賞をとった波の彫文技法は、釉薬を主体にしていた作風に加えて、独自のモチーフとして展開されます。裏返った波のうねり、押し寄せる波の動きを陶肌に表現する着想は、趣味の魚釣りで得たもの。「近辺の海に出て、波の表情を観察します。釣れても釣れなくてもいいんです」。月に一回は釣り糸を垂れるとか。
壺の形も、夏ミカンをイメージした楕円を追及。素焼でよくても本焼で落ちる肩の稜線が問題です。「(肩が)落ちるぎりぎりの線を狙っているのですが、まだまだです」
修行中の窯元で知り合った夫人の幸枝も、粘土を板状にして成形するタタラ技法で、花入れやミニ水盤、銘々皿などを制作しています。「なかなか思うようになりません」と苦笑する夫唱婦随の作陶生活です。