山口県北部 萩エリア
波多野 善蔵 Hadano Zenzo
蹴ろくろで挽く井戸茶碗の美意識
練達の陶芸家は求めるものに果てがない
生年月日 | 1942年3月23日 |
---|---|
出身地 | 佐賀県唐津市 |
所属 | 日本工芸会正会員 萩陶芸家協会正会員 |
窯元名 | 波多野指月窯 |
開窯年 | 1948年 |
受賞歴 |
|
---|---|
所在地 | 〒758-0057 山口県萩市堀内2区247(Googleマップ) |
電 話 | 0838-22-1784 |
交 通 | 萩博物館より萩城跡へ向い50m |
駐車場 | 8台 |
展示場 | 有(城下町の中心地にあります) |
H P |
唐津に生まれ萩焼を代表する陶芸家の一人である波多野善蔵。唐津、有田で修業に入り、持ち前の根性に加え手と目で確かな技を修得した後、萩焼の窯元指月窯に移り住みます。
萩で新たに制作を始めましたが、萩焼の茶碗とともにその魅力に取り付れたのが井戸茶碗。「一井戸、二楽、三唐津」と賞美される井戸茶碗は、李朝時代に作られた高麗茶碗の一つです。秀吉の文禄の役が始まる十四年前の一五七八年に、唐津茶碗に代わって初めて茶会記に登場し、侘茶には不可欠の茶碗でした。「何度も触れると壊れるし、土に小砂が入っていて扱いにくく思う様な形になりません。でも同じ物をいくつも作れないから井戸茶碗に惹かれるのです。
私は井戸茶碗を蹴ろくろで挽きます。土がさくいので、力を込めて土を殺し手早く荒伸ばしします。張りのある朝顔の形にするため丸ゴテを当てます。それも二度だけ。何度も当てると壊れるのです。」
足でろくろを回し、手で形を整え、指先でろくろ目を作り、ぬた目を調整する地道な作業から生まれる井戸茶碗。その最終工程は新しく築いた登り窯のある旭村明木の工房で行います。
独自の技法で化粧掛けと釉掛けを施し、一週間の窯詰めをします。蹴ろくろで挽いたうち一割程しか世に出ない繊細な井戸茶碗。「愛しいですね。だから手を掛けてやる。たまに言うことを聞きませんが育てることに喜びを感じます。」彼にとって井戸茶碗への追求は後継者の育成と重なっているのかもしれません。