山口県北部 萩エリア

玉村 信一 Tamamura Shinichi

修行の日々
好きな言葉は「素心無限」


生年月日1969年12月12日
出身地山口県萩市
所属萩焼伝統工芸士会 会員
萩陶芸家協会専務理事
窯元名松林庵
開窯年1975年
受賞歴
  • 2000年広島大学大学院社会科学研究科法律学専攻博士課程前期修了
    父、登陽に師事。作陶を始める。
  • 2001年第36回西部工芸展入選(以後6回入選、2010年より連続入選)
  • 2007年第1回韓国・萩陶芸交流展出展(ソウル)
  • 2014年第61回日本伝統工芸展入選
  • 2015年第23回日本陶芸展入選
所在地〒759-3721 山口県萩市三見221-8(Googleマップ
電 話0838-27-0155
交 通萩市役所から長門方面約5㎞
駐車場5台 
展示場

有(茶陶から日常使いのものまで、さまざまな作品が揃う)


 「陶芸は死ぬまでできる仕事」と広島大学の大学院で法律を専攻、博士課程前期を修了し、あっさりとこの道を選び、父登陽に師事します。これも現代の若者気質なのでしょうか。「小さいころから家の手伝いをして、春休みも夏休みもありませんでしたから」と屈託がない。「その代わり、一生が勉強です」
 「まだ修行中の身ですから、今はやきものの基礎をしっかりと習得することで精一杯」と言いながらも、西部工芸展や新進作家展などの展覧会に出品して、優秀な成績を修めています。しかし「まだ、思うようなものが、(窯から)出たことはありません」
 その言葉は必ずしも謙遜や照れではなく、しっかりした考え方に基づいたものでした。「基礎をおろそかにして軸がぶれたままの延長が、自分の作品になってしまうのが嫌なんです」。どこかアメリカのプロ野球大リーグのイチローに似た言い回しですが、なかなかの説得力です。
 「土を見る、釉を見る、火を見る、技を見る」と、勉強の日々ですが、頭のなかには、将来像を暖めているようです。目指すのは立体造形で、「形がしっかりしていないと、奥の浅いものになります。自分の内面が表現できるようになるまでは」と、修行が続きます。   また、祖父松月の「デザインや色に凝るのは、本来の姿ではない。飽きのこないものは残る」という教えも胸に響きます。さらに、産業としての陶芸と作家としての陶芸は、相反するものでないとの持論を証明する望みも秘めていて、新しいタイプの明日の陶芸家に出会った思いでした。
 好きな言葉は、山口大学元学長、広中平祐氏に直接伺った「素心無限」。今の心境そのもののようです。