山口県北部 萩エリア
金子 信彦 Kaneko Nobuhiko
用の美から心を満たす用へ
自分に課題を与えて新鮮味
生年月日 | 1951年5月26日 |
---|---|
出身地 | 山口県萩市 |
所属 | 萩陶芸家協会正会員 |
窯元名 | 城山窯 |
開窯年 | 1967年 |
受賞歴 |
|
---|---|
所在地 | 〒758-0057 山口県萩市堀内1区城内42-5(Googleマップ) |
電 話 | 0838-25-1666 |
交 通 | 萩史料館そば |
駐車場 | 有(乗用車、バス、自転車対応) |
展示場 | 有(多くの人達に向けた展示。食堂・喫茶、登り窯、ロクロ実演、陶芸教室の設備有) |
小さいころから坂窯の工房と周辺が遊び場でした。「蹴ロクロの音が胸に心地よく響き、成形される土はまるで手品のようでした」。中学卒業時、すでに湯呑茶碗を作っていたという陶芸少年は、十八歳でホテルのオーナーが経営する新興の城山窯に入りました。一九六九年のことです。年長の職人たちに交じって修行を重ね、二十代前半からは窯の経営面にも関わるようになります。当時は観光ブームで、やきものおもよく売れた時代。「しっかりした経営が、新しい窯には大切な仕事でしたが、多種多様な焼物を作り、さまざまな技法を身につけました」個人的経営の窯元が多いなかで、多くの職人と従業員をかかえ生産から販売までを一貫する城山窯。作陶とマネジメントという状況にも「それぞれを凝縮することで励みになっています」と、創作意欲はかえって高まっていきました。
萩焼を「生活のなかに溶け込んでいく焼物」と定義づけてふだん使いの器に「用の美」を求めるとともに、「土を味方に、土の限界と可能性をたしかめる」ための心象風景を映す造形美へと、その意欲は広がっていきます。
「自分自身が早く固まりたくない」と、三十歳を過ぎるころから公募展などにも積極的に挑戦。「自分に課題を与え、自分のなかでしっかり煮詰めて、これまで例のないような作品をつくりたい」。そのために茶道、華道、書道といった素養と感性を磨く勉強も忘れていません。「慣れたら駄目、つねに新鮮味を」というのが信条です。表現はものに合わせて多くの技法を駆使。造形にも大胆さと繊細さが織り込まれて、陶芸家としてひと皮剥けた昨今。「陶器には心を満たすという用途もあるはず。来窯者一人ひとりの違った心をうつ作品を見ていただきたい」