山口県中部・東部 山口・防府エリア

大和 稔 Yamato Minoru

型破りの焼締めから出発
独特の感性を映す「自遊人」


生年月日1959年11月7日
出身地山口県山口市
所属日本工芸会正会員
萩陶芸家協会正会員
窯元名大和春信松緑窯
開窯年1890年
受賞歴
  • 2000年日本工芸会山口支部伝統工芸新作展(審査員賞受賞)
  • 2003年山口県新南陽市教育委員会選奨表彰
    九州・山口陶磁器 百回記念展「朝日新聞社賞」受賞
    山口県芸術文化振興奨励賞 受賞
所在地〒753-0001 山口県山口市宮野上大山路(Googleマップ
電 話083-928-0460
交 通JR山口線宮野駅から津和野方面徒歩20分
駐車場20台
展示場

H P

http://hagi-tou.com/


 窯元の家に生まれた子弟の多くは「小さいころから、無理やり手伝わされた」という宿命にあります。この作家もこうした体験を経て、(現)京都嵯峨芸術大学陶芸専攻(二ヵ年本科)卒窯業試験場とも親交を持ち、帰郷後作陶生活に入ります。
 しかし、萩焼は「昔から同じことを繰り返している。なぜ、そこから出られないのか」との疑問に反発するように、信楽や備前に見られる焼締めだけの作品に没頭します。藁や籾殻、炭を土に混入して、窯のなかで燻して文様に燻す手法で、茶褐色に焼き上げます。
 「異端だと分かっていましたが、やりたい気持ちが先行して行ったんです」。二十代後半になって「刺激だけを求めていた自分」に気がつき、改めて萩焼に向かいます。そして、基本の大切さを痛感します。「(陶芸は)しっかりした技術があってこその見せ場」と、基本的な技術のうえに思い通りの作品を生み出していく、偶然に頼るのはプロではないと自覚します。
 「発想はどんどん膨らんで、やりたいことはたくさんある」という作陶意欲は、この経験により、さらに飛躍していきました。それは、萩焼の技法のうえに個性を焼成します。海原の波状やうねりをモチーフにした造形は、鉢、壺、花器など大物へと進化します。夕日を思わせる鮮やかな緋文の陶肌、波の動きをとらえたさまざまな表情のフォルムと、独特の感性を作品に映しこんでいきます。「夢中になれる時間が楽しい」。自らを「自遊人」と称しています。
 時間を見つけては新たな自分を模索し「無芸大食」と言う謙虚な自分を常に置いています。人が作れない造形美から森羅万象を作品モチーフに。とくに海から見る自然美に憧れ、最近だけでも、四国一円〜壱岐対馬〜韓国沿岸にまで巡りました。「これからも自然から受ける感性を基本に、人の愛情や想いを映し出せる作品を創作したいと思います」