山口県中部・東部 山口・防府エリア

堀切 香澄 Horikiri Kasumi

白釉に刻む罅に魅せられて
専業主婦からの見事な転身


生年月日1938年9月1日
出身地広島県
所属萩陶芸家協会正会員
窯元名香窯
開窯年1994年
受賞歴
  • 1986年山口県美展入選 以後入賞(佳作)入選
  • 1987年女流陶芸展入選
  • 1989年知新会展山口県知事賞受賞 以後入賞入選
  • 2003年日展入選
所在地〒754-0002 山口県山口市小郡下郷100-333(Googleマップ
電 話083-973-0600
交 通新山口駅から車で7分
駐車場3台
展示場

33 ㎡(家庭の居間のような雰囲気です)


 専業主婦が陶芸の道に入ったのは、一九八〇年県立美術館の陶芸教室を受講してから、大和保男に師事します。終了後も数人の仲間とともに共同の窯をもち、唐津焼の勉強に唐津での研究会にも通いました。「教室で生まれて初めて触った土の感触がよくて、これしかないと思った」と、和裁や楽器の趣味を辞めて陶芸に専心するようになりました。
 以来二十数年、自己の作品として求めるのは白釉に刻まれる罅(ひび)の造形。作品は花器や置きものなど造形的な大型のもので、「窯の中で釉薬が溶けてたぎり、どんな罅ができるか胸をときめかせ、次作への意欲をかきたてています」日ごろから美術館や展示会を見てまわるのも罅の勉強のため、つねに刺激を求めています。また、土に小石を混ぜて罅の出来具合を研究。「罅から水が入り、花器の役目をなさないものもありますが、風雨にさらされて自然に面白いかたちになることもあり、庭にころがして楽しんでもかまわない」と屈託がありません。その潔さが作品に風格を与えているようにも見えます。
 陶芸生活での大きなエポックは、一九九三年の滋賀県立陶芸の森での体験です。世界から集まった指導者のもとで、やはり世界からきた生徒たちとワークショップなどで学んだ六ヵ月間。「陶芸への真摯な姿勢だけでなく、出会った人たちとの交流は作陶の大きな励みになっています」。そのためか山口市郊外の工房にはたくさんの仲間が集まり、「井戸端会議の場」になっているとか。
 好きな言葉「Going My Way」そのままの陶芸家への見事な変身。その背景には、「仕事で各地の窯元を取材する主人から、学んだことも多い」という元NHKディレクターの理解と協力があるようです。