山口県北部 長門エリア

新庄 貞嗣 Shinjo Sadatsugu

伝統を継承しながらも独自の技を表現
茶碗の形を追い求め貞嗣の世界を創る


生年月日1950年11月18日
出身地山口県長門市
所属日本工芸会正会員
萩陶芸家協会理事
窯元名新庄助右衛門窯
開窯年17世紀初頭(萩焼開窯時より萩焼に従事)
受賞歴
  • 1982年山口県美術展 最優秀賞
  • 1983年西日本陶芸美術展 奨励賞 山口県知事賞
  • 1984年西日本陶芸美術展 優秀賞 通産大臣賞
    茶の湯の造形展 奨励賞
  • 1987年山口県芸術文化振興奨励賞
  • 1992年伝統工芸新作展(山口支部)記念大賞
  • 2005年山口県選奨(芸術・文化功労)受賞
所在地〒759-4103 山口県長門市深川湯本1480(Googleマップ
電 話0837-25-3603
交 通JR長門湯本駅より車で10分
駐車場10台
展示場

有(陶房の近くに茶陶を主体に展示)


 新庄助右衛門窯は、一六五七年現在の深川(ふかわ)湯本に三之瀬(そうのせ)焼物所を開窯した一人、赤川助右衛門を始祖とする。その先祖松本ノ介左衛門は、陶祖李勺光と共に広島から萩に来住し、開窯に参加しました。十一代の時に新庄と改姓し、代々寒山と号してきました。以来伝統を守り連綿として陶芸活動を行っています。その萩焼新庄助右衛門窯を継承する十四代目、新庄貞嗣は由緒ある家系のサラブレッド。子供の頃から窯焚きの光景を楽しみにして育ったそうです。
 大学、大学院で彫刻を専攻した当代は、まず灰被(はいかぶり)というダイナミックな焼成法で陶筥シリーズを始めました。さらに窯変の高坏(たかつき)形の萩白釉台皿など、彫刻的手法に焼き成りを駆使した作品を発表。確かな技で数々の公募展に出品し、入選・受賞を重ねています。この陶芸家は、十四代助右衛門でもなく寒山でもない、本名のままの十四代継承となりました。「茶碗作りはとても面白い。器の形を追求し、特に手に馴染む椀形(わんなり)に取り組んでいます。器胎(きたい)の内と外の空間が自分で意識しやすい形で、一碗ずつに表情を持たせたい。おいしくお茶が飲める一碗を作りたいのです。」
 伝統的陶技を継承する当代は、かつて萩焼古窯址が発掘された際、その多様性に驚いたと言います。今日とは全く違った陶片が出て来たり、釉薬を研究した形跡もある。数百年の先達が錬磨し続けた技を守りつつ自分らしい独自の表現を志したのです。酷暑の中、取材に快く応じてくださった新庄氏の姿には、伝統に負けない気迫が感じられました。